風雲☆永田町

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていく仕事だ」(マックス・ウェーバー)

森喜朗東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会会長の失言 批判は「木を見て森を見ず」の様相

 東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長が女性蔑視の発言をしたとして、世界中から批判を浴びている。批判の的となっている3日の森氏の発言はこうだ。

 「女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」

「女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります」

 「私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます」

 主に「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」「発言の時間をある程度規制しないとなかなか終わらない」「わきまえている」が女性蔑視と批判された。

 翌4日の謝罪会見にも批判が殺到した。森氏は「深く反省をしている。発言をいたした件については撤回をしたい。不愉快な思いをしたみなさまについてはお詫び申し上げたい」と謝罪したが、TBSラジオの澤田大樹記者に「適任か。私は適任と思わない」などと追及され、「承っておく。おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ」と逆切れしてしまった。

 世間は「辞めろ」の大合唱だ。女性蔑視的な発言は、日本国内よりも海外が反応する。「人権」や「ポリコレ」の意識が極めて高いからだとおもわれる。海外メディアによる批判が日本国内に逆輸入されて、ますます炎上する構図である。

 一方、政界は「余人を持って代えがたい」(世耕弘成自民党参院幹事長)などと発言。五輪招致に尽力した安倍晋三前首相も「森さんを辞めさせるはずがない。それは五輪を辞めさせたい勢力の陰謀だ」と周囲に話している。菅義偉首相は「国益にとって芳しくない」と半身だが、誰も辞任させるパワーも熱量も持たない。小池百合子東京都知事ですら、世論に迎合した首切りパフォーマンスに打って出ない。

 それはなぜか。ベテラン記者が語る。

 「森氏が五輪に向けて大きな貢献をしてきたからだ。競技団体や各国との調整、スポンサー企業からのカネ集めなど、森氏でなければできなかった仕事は枚挙にいとまがない。その姿をみていれば辞めろなどとはいえない。批判はまさに『木を見て森を見ず』だ」

 ただ、森氏は2月2日の自民党で五輪の最大の問題は「世論だ」と明言し、国内で五輪開催の支持が高まらないことを嘆いて見せた。自らが足を引っ張ることになり、その胸中いかばかりか。