菅内閣、ただの派閥均衡ではない プロを集めた仕事人内閣
菅義偉首相が16日に誕生し、発足する内閣の閣僚人の顔ぶれについて、メディアは「派閥均衡」などといっているが、特徴がそんなところにあるわけではない。恐ろしいほど「仕事人」を集めている。
確かに、派閥別でみると、総裁選で菅首相を支持した細田派5人(萩生田光一文部科学相、野上浩太郎農林水産相、岸信夫防衛相、西村康稔経済再生担当相、橋本聖子五輪相)、麻生派3人(麻生太郎副総理兼財務相)、竹下派2人(加藤勝信官房長官、茂木敏充外相)、二階派2人(武田良太総務相、平沢勝栄復興相)、石原派1人(坂本哲志1億総活躍担当相)、無派閥3人(梶山弘志経済産業相、小泉進次郎環境相)が入閣した。
対立候補を支持した岸田派から2人(上川陽子法相、平井卓也デジタル担当相)、石破派からも1人(田村憲久厚生労働相)が入閣した。おおむね所属人数によって人数が割り当てられた。
「安倍カラー」ともいわれるが、首相は「路線継承」をうたっているのだから当然といえる。
もちろん、能力とは関係なく派閥の事情で入閣した閣僚もいる。麻生派の井上信治大阪関西万博担当相、二階派の平沢勝栄復興相と石原派の坂本哲志1億総活躍担当相だ。各派の待機組で、各派が入閣を強く希望した。野上氏が参院枠だ。公明党の赤羽一嘉国土交通相も慣例通りの公明枠だ。無派閥では菅首相の側近。小此木八郎国家公安委員長は菅氏が秘書を務めた仕えた小此木彦三郎元通商産業相、梶山弘志経済産業相は菅氏が政治の師と仰ぐ梶山静六元官房長官を父に持つ。ベテラン記者の話。
「小此木氏、梶山氏ははあまり頭が切れるタイプではない。無派閥の菅氏が総裁選で支えてもらった論功行賞だ」と説明した。
むしろ政策を実行する首相の強い意図がある。ベテラン議員が開設した。
「専門家や実行力のプロを配置した。河野氏は首相が重視する縦割り行政の打破に、持ち前の突破力と発信力を期待されている。平井氏はデジタル分野で党の第一人者といえる存在だ。携帯電話料金値下げなど電波行政のトップには武田氏。門外漢だが、九州出身の親分肌で、声が大きく実行力がある。上川氏は安定感があるほか、安倍政権に批判的な検察を押さえる役割も期待されている。岸氏は防衛族としても知られている。安倍氏の置き土産となった敵基地攻撃能力保有の議論を主導するにはうってつけの存在だ。小泉氏も環境行政にハマっている。茂木氏は首相の弱点とされる外交で補佐するだろう」
仕事人内閣のお手並み拝見である。