風雲☆永田町

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていく仕事だ」(マックス・ウェーバー)

白須賀貴樹衆院議員、かねてから素行に疑問符 緊急事態宣言下、深夜のラウンジ通いで自民党を離党

 白須賀貴樹衆院議員が17日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言下の東京都内で深夜に会員制高級ラウンジに女性を伴い滞在したことが判明し、自民党を離党した。次期衆院選への不出馬を表明したが、議員辞職は否定した。

 白須賀氏は記者団には「本当に大変軽率な行動をした。お店の人に泣きつかれてしまい、売上の足しになればと思った」と述べ、深々と頭を下げた。

 白須賀氏がラウンジに行ったのは10日。夜に銀座のクラブに行ったとして松本純大塚高司田野瀬太道の3衆院議員が自民党を離党したのは1日だと考えると、弁解の余地はない。

 白須賀氏は2012年の衆院選で初当選した3期生だ。細田派所属している。同期は不祥事に枚挙にいとまがないことから、「魔の3回生」と呼ばれている。「ゲス不倫」で議員辞職した宮崎謙介氏、「路チュー」の門博文氏、「おんぶ」の務台俊介氏、秘書へのパワハラで離党した石崎徹氏らがいる。

 なかでも白須賀氏は筆頭格といわれていた。飲み歩いている4人の議員の頭文字をとって「KISS」といわれていたものだ。ちなみに、白須賀氏が離党し、自民党に残っている現職議員はS氏ひとりである。酒を飲むと態度が大きくなり、今は閣僚をしている先輩議員の胸倉をつかんだことも目撃されている。

 下村博文政調会長は17日の記者会見で笑いながら「属人的と言えば属人的…」と本音を吐露してしまったほど、白須賀氏の評判は広がっていた。過去には、内閣府政務官で在京当番でありながら都から離れたことや、秘書が運転し自身が乗っている車が人身事故を起こしたのに警察に届け出なかったことも問題視された。白須賀氏から別の人物に選挙区での候補者差し替えてほしいと地元が党本部に求めたこともある。

 自民党ベテラン議員は「こうした議員を差し替えられないことが、小選挙区制の限界だ」と話す。1選挙区に1人が当選する小選挙区制度では、政党の公認を得られればめったに降ろされず、新陳代謝が起きない。1選挙区で複数が当選する中選挙区制の時代は、派閥がしのぎを削り緊張感があった。しかも「魔の3回生」は安倍晋三総裁のもと、自民党に風が吹いた楽な選挙しか経験していない。慢性的に緩んでいるのである。

 自民党の立て直しは容易でないといえそうだ。