風雲☆永田町

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていく仕事だ」(マックス・ウェーバー)

都構想の可否が衆院選に影響 維新は伸びるか死ぬか

大阪市を廃止し特別区に再編する大阪都構想住民投票(11月1日投開票)が12日、告示された。可否は次期衆院選の結果につながる。可決されれば旗振り役の日本維新の会が伸び、否決なら維新は大失速するという前提を軸に、各党の思惑が入り混じっている。
 自民党は、賛否両論だ。菅義偉首相は都構想に理解がある。都構想の旗振り役である維新の生みの親である橋下徹弁護士を都知事選に担ぎ出し、総裁選の最中にも「都構想法案を成立さえた」と胸を張った。
 菅首相の脳内はこうだ。次期衆院選で維新が伸びる場合、自民党票も立憲民主党などの野党票も食う。であるならば、選挙後に自民党は維新と連携して数を補えばよい。憲法改正の発議に必要な3分の2議席を確保できるかもしれない。
 一方、自民党大阪府連は反対の立場だ。小選挙区で維新と争っているためで、議員身分を守るためには否決させないと軒並み落選が現実味を帯びてくるからだ。ただ、府議には都構想に賛成する向きもあり、府連内も一枚岩ではない。ある府選出議員は「市議の力が強すぎる。意に沿わないと平気で『選挙で応援しないぞ』と脅してくる」と手厳しい。
 公明党は前回は都構想に反対したが、賛成に回った。府内の4選挙区で維新との対決を避けたい考えが背後にある。ただ、支持母体の創価学会内には「前回は反対したのに賛成するのはよくわからない」と反発もあり、投票行動につながるかは定かではない。
 立憲民主党は警戒している。枝野幸男代表は周囲に「大阪の話だ」と話を矮小化し、安住淳国対委員長も「橋下がいた全盛期に衆院選で議席しかとっていなかっただろ」と周囲に話している。ただ、立憲民主党の議員は選挙基盤が弱い議員が多く、維新が選挙区に乗り込んできて自民党との一騎打ちの構図にならなければ苦しいのは間違いない。都構想反対の共産党との一体化が進んでいることがどの程度国民の理解を得られるかは不透明だ。
 国民民主党は、前原誠司元外相が都構想賛成を表明するなど、維新との連携に傾いている。国民民主党と維新が組めば、保守系野党、改革派政党、是々非々の政党として一定の支持を得る可能性がある。