風雲☆永田町

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていく仕事だ」(マックス・ウェーバー)

菅首相の衆院解散、本命は年末年始か 免許証デジタル化、不妊治療保険適応「年内に方向性」

 菅義偉政権が17日に本格始動し、菅首相は目玉政策を所管する閣僚に矢継ぎ早に指示を出している。それらを読み解くと衆院解散・総選挙は年末・年始が本命となりそうだ。
 首相は肝入りのデジタル庁創設を担当する平井卓也デジタル相を首相官邸に呼び、こう指示した。
 「デジタル庁の新設を、さらにスピードアップしてやれ」
 これを受けて官邸で記者団は平井氏に「臨時国会に設置法を出すのか」と問い詰め、平井氏は「それは無理だ」と語った。解は年内に方向性を取りまとめるということだろう。
 首相は田村憲厚生労働相には「不妊治療の保険適用を、スピード感を持ってやってもらいたい」と念を押した。少子化大綱にも盛り込まれており、年末に向けて議論を加速させる考えだ。
 小此木八郎国家公安委員長には、8000万人が利用している免許証のデジタル化を進めるよう指示した。小此木氏は17日の記者会見で「首相の強い指示があった」と話した。マイナンバーカードと一体化し、スマートフォンとつなげる案がある。警察庁が年内に工程表をまとめるという。
 新型コロナウイルス対策も急ぐ。西村康稔経済再生担当相は17日の記者会見で「4~5月の緊急事態宣言のときの経験と、7~8月の大きな流行のヤマの経験を、スーパーコンピューターなどを使って分析し、。対策、9月から10月にかけてしっかりと練り上げて進化させていきたい」と述べた。
 目玉である「縦割り行政打破」に向け、河野太郎行政改革担当相は国民から縦割りや規制の弊害の通報を受ける「縦割り110番」を自身のホームページでスタートさせた。これは首相から16日に指示を受け、迅速に対応した。
 ベテラン記者の解説。
 「首相はご祝儀相場による解散には慎重で、『国民のために働く内閣』を強調している。何か実績を残してから国民に信を問いたい思いだ。年内に改革のメニューをそろえて予算編成を終え『自分たちに任せてくれればこれだけ改革ができる。強く進めるための勢いがほしい』と大義を掲げ、年末か年始に衆院を解散するのではないか」
 首相は「国民が望んでいるのはコロナの収束と経済の再生」とけむに巻いている。年末年始にコロナの感染が再拡大してない保証はない。ベテラン記者が語る。
 「ここを逃せば来年の自民党総裁選後の解散で、任期満了が近くなり、追い込まれる。なんらかの理屈をつけて解散するだろう」