風雲☆永田町

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていく仕事だ」(マックス・ウェーバー)

内閣支持率急上昇、菅「新首相」人気 早く出たご祝儀と、なかった石破人気

 報道各社の世論調査で、安倍晋三内閣支持率が急上昇し、辞任する安倍首相の「次の首相」にふさわしい人物として菅義偉官房長官がトップに躍り出ている。
 菅氏は周囲に「実績が評価されている。批判されていたのは安倍首相個人だからね。俺が出るといったから上がった。『次の首相』でトップなのは、俺が仕事をしてきたからだ」と上機嫌で周囲に話しているというが、どうみるか。
 内閣支持率は、読売新聞(4~6日調査)52%(前回比15ポイント増)、TBS(5、6日調査)は62・4%(同27ポイント増)、朝日新聞(2、3日)は内閣支持率ではないが71%が安倍内閣を「評価する」と答えた。政権末期としては異例の高さである。内閣府の官僚の話。
 「新内閣のご祝儀が、発足前に出た。安倍政権7年8カ月の長期政権の飽きから開放され、ある種の閉塞感が打破されたような感覚で気持ちで支持率が上がった。安倍首相の引き際も鮮やかだととらえられた」
 「次の首相」では、読売が菅氏46%、石破氏33%、岸田氏9%。TBSが菅氏48%、石破氏27%、岸田氏6%。朝日が菅氏38%、石破氏25%、岸田氏5%。いずれも菅氏が「国民的人気がある」とされる石破氏を上回った。先の官僚が言う。
 「読売では、自民党支持層が菅氏63%、石破氏22%、岸田氏8%だった。自民党総裁選では各都道府県連が予備選を行うが、ここでも菅氏が勝利する公算が大きくなった。党員投票に活路を見出したかった石破氏だが、苦しくなった」
 思い出されるのは2007年の総裁選だ。福田康夫元首相と麻生太郎元首相が争い、都道府県連の投票で76票を獲得した福田氏が「国民的人気がある」とされていた麻生氏が獲得した65票を上回った。このときも一部県連で予備選が行われた。国会議員が福田氏支持で雪崩を打っており、似たような状況になる可能性がある。石破氏への支持は無党派や野党支持層で高いだけに、石破氏は野党との親和性が高いことがうかがえる。
 政党支持率各政党の支持率ではTBSで自民党の支持率が43・2%となり、第2次安倍政権発足後、最高となった。鈴木俊一総務会長が「衆院解散・総選挙の誘惑にかられる」と正直に語るように、永田町では早期解散論が広がっている。菅氏は報道各社のインタビューで解散について「新内閣が考える」「新型コロナウイルスの感染収束」「新たな経済対策」と話している。その解は、経済対策とりまとめ後の秋解散だろう。