風雲☆永田町

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていく仕事だ」(マックス・ウェーバー)

注目の官房長官人事。梶山、森山、萩生田、加藤、河野氏ら浮上

 安倍晋三首相の後継を選ぶ自民党総裁選は菅義偉官房長官が独走しており、16日に新首相に選ばれる見通しだ。注目は女房役となる官房長官の人事だ。内閣の浮沈を握る最重要ポストで、菅氏の政権運営に向けた姿勢もみえてくる。安倍政権7年8カ月は菅氏が一貫して務めたポストだが「菅氏にとっての菅氏が不在」といわれる。ベテラン記者の解説。
 「名前が挙がっているのは、菅氏に近い議員として無派閥の梶山弘志経済産業相森山裕国対委員長。安倍首相に近い議員で有資格者とされる萩生田光一文部科学相加藤勝信厚生労働相だ。菅氏が買っており、麻生太郎副総理兼財務相の派閥に所属する河野太郎防衛相も浮上している」
 梶山氏は、菅氏が政治の師と仰ぐ梶山清六元官房長官を父に持ち、国会答弁は手堅いと評判だ。無派閥議員としては菅原一秀経産相とともに菅氏を囲む会合を続けている最側近とされる。両氏を菅氏にとっての「助さん角さん」と表現する議員もいる。
 森山氏は菅氏と同様に地方議員出身のたたきあげだ。二階俊博幹事長とともに国会運営などで菅氏と緊密に連携し、今回の総裁選でも、二階氏とともに、各派閥が菅氏に雪崩を打つ流れを主導した。「森山」「菅」「二階」の3人の頭文字をとって「MSN」と週刊誌に書かれたほどの蜜月ぶりだ。ただ、森山氏を起用すれば、各派閥の反発を買うのは間違いないだけに、判断が難しい。
 萩生田、加藤両氏は、どちらも菅氏のもとで官房副長官を務めた。安倍首相の側近で、「安倍政権の継承」という点では有資格者といえる。政府筋が背景を解説した。
 「萩生田氏は、首相の後見人でもある森喜朗元首相が菅氏に起用するよう伝えている。背後には、森氏や安倍首相、萩生田氏に近いジャーナリストが森氏に耳打ちしているといわれている。加藤氏は安倍首相とは親の代からの付き合いだ。安倍政権のチャーターメンバーとして菅氏ともウマがあうようだ。菅氏は新型コロナウイルス対応で厚労省の対応に不満があるが、てこ入れのために加藤氏を外すと角が立つので官房長官に昇格させる形をとる可能性がある」
 河野氏は。
 「菅氏が純粋に評価しており、人気がある。河野洋平官房長官が父だけに、世論はおもしろがる。河野太郎氏を起用したら、早期の衆院解散・総選挙とみてよい。ただ『官房機密費を公開する』などとエキセントリックなことをいいかねないのがネックだ」
 官房副長官には西村明宏氏の続投、小泉進次郎氏のサプライズ起用、無派閥菅Gの坂井学元総務副大臣の抜擢が考えられる。